第17章 蒼炎の教育※治崎
この前はここまで出来なかったのに、薄目で見る治崎はこの前の様な拒否反応は出ていなかった。
ああ…克服してしまったんだ。
舌を絡めてくるのがゆらだけで無く、治崎からも絡めてきている。
ゆらの賭けはここで終わってしまった。
後は治崎の情欲を受け入れるか、受け入れないかだけだ。
「……鎖を…。」
取って欲しいのだろう。
唇が離れて治崎がそう言ってゆらは目を細めた。
「……無理……気分が上がらない……。」
縛っていても気分が上がらないのだ。
鎖を解いたらそのまま部屋から出て行きたいくなりそうだ。
ゆらはしょうがなく治崎の腕に鎖を巻いた。
「…………。」
「触っていいよ。」
自分の腕に巻かれていた鎖から、ゆらに目線を戻した。
さて、この男はどんな風に触ってくるのだろう。
治崎はゆらの背中に手を添えて、ゆらにキスをしてきた。
その顔からは情欲が見えて、しっかりとそれをゆらにぶつける様なキスだった。
これは……荼毘が怒りそうだ。
そして……。
焦凍を裏切る行為だろう。
薬が欲しいからその行為を受け入れる。
まだ荼毘なら理解できるか?
焦凍なら……。
あの綺麗な顔を歪ませて、その顔を見たゆらが傷付く位に悲しそうな顔をさらに決まっている。
(ああ…焦凍……。)
こんな時に胸を痛めるのは荼毘では無くて、あの笑顔だった。
『焼かれてぇのか。』
それ位軽く言って終わらせる。
その荼毘の世界が今は救われる。
治崎の手が背中からうなじに動いた。
同時に彼の唇が首元に移動した。