第17章 蒼炎の教育※治崎
治崎の手が体に触れて、ゆらは目を顰めた。
その瞬間に体が治ったのを見て、ゆらは肩の力が抜けたのが自分でも分かった。
いちいち緊張感がしんどい……。
ゆらは自分の体が治ったのを見てため息を吐いた。
「……お前の目的はなんだ?」
椅子から降りるゆらを見て、治崎は聞いた。
ゆらは治崎の言葉の意味を考えた。
ゆらを警戒している?
いや。
治崎はゆらの目的を見定めたい様だった。
ゆらの口角が上がった。
交渉術をホークスから教わった訳では無い。
なのに治崎のその質問が自分に有利だと言う事が分かる。
「不安なの?オーバーホール。」
ゆらは治崎を見ながら笑みを浮かべた。
ゆらのその表情に治崎の顔が歪んだ。
「それとも私の事を知りたい?」
ゆらは一歩一歩ゆっくりと治崎に近付いた。
治崎は少し体を逸らしたが、後退をするほどでは無かった。
ゆらが治崎の目の前まで近付いた。
いつもなら嫌悪感で体を逸らす距離だ。
さっきゆらを触った治崎の手を見た。
もう触った位ではアレルギーは出ない様だった。
ゆらはスッと腕を伸ばして治崎の胸に手を置いた。
ハッキリ触っているのに思った通り治崎にアレルギーは出ていない。
その様子を見てゆらはニッコリ笑った。
「私に頂戴♡完成品を♡」
ゆらの言葉に治崎は一瞬驚いた様だったが、すぐにいつもの表情に戻った。
「……それがお前の目的か?」
治崎がそう言うとゆらは目を伏せた。