第3章 蒼炎を愛慕する※荼毘
とりあえず、何も無い部屋を見つけると、ゆらを床の上に置いた。
鎖を出されても面倒なので、爆豪に使った拘束具をゆらにも付けた。
荼毘は目を覚さないゆらを見下ろして考えた。
自分のコピーと対峙したのはゆらで間違いないだろう。
あの場所に来たという事は、それを知らせたのも自分のコピーだと、荼毘は思った。
(…連れてこようと思ってたのか?)
ゆらを見て、自分のコピーはそうしたかったのだろう。
そう考えると、荼毘はため息を吐いて、自分の顔に手を当てた。
(あり得ないだろ…こんなガキに。)
寝ているゆらを見下ろして、荼毘は目を細めた。
「…… ゆら。」
荼毘はゆらの名前を呼びながら、顔に掛かっているゆらの髪をそっと直した。
「…ん…。」
ピクッとゆらの眉が動いて、ゆらが薄っすらと目を開けた。
「………荼毘……。」
見知らぬ場所に戸惑うよりも先に、ゆらは荼毘を見つけた。
手を伸ばそうとして、勝手が効かない両手に、自分の腕が後ろで拘束されているのに気が付いた。
「どうだ?いつも拘束する側が、される気持ちは?」
荼毘はゆらの顔の前で屈んで、笑いながらゆらに言った。
「………………。」
ゴキッとゆらの後ろから骨が外れる音がした。
荼毘は驚いてゆらを見ると、何て事ない顔をして、ゆらは拘束具を外した。
「……大抵の拘束具は、関節外せば取れるのよ…。」
自ら外した関節を戻しながら、ゆらは平然と言った。