第3章 蒼炎を愛慕する※荼毘
ゆらが荼毘を探し出した場所に辿り着くと、数名のヴィランを確認した。
『ツレを待ってる。』
襲撃する仲間を待っていたんだ。
(…3人なら、イケるかな…。)
出ようか迷っていた時、空の上から音がした。
大きな音と共に、轟、綠谷、障子が、ヴィランを押さえつけながら、落ちて来た。
「!?」
荼毘が応戦して、コンプレスから3人を剥がした。
(っ!イケる!)
ゆらは木から飛び降りて、手前に居る荼毘と、トゥワイスに向かって鎖を放った。
自分に鎖が巻かれて、それがすぐにゆらだと分かる。
「っ荼毘!」
目を見たら分かる。
今度こそ本物だ。
「っコンプレス!あの女圧縮しろ!」
「!?」
目の前が一瞬にして暗くなった。
ビー玉の大きさに圧縮されたゆらを荼毘が拾い上げた。
コンプレスの個性によって、ゆらの個性は消滅した。
荼毘はポケットに圧縮されたゆらをしまった。
背後に黒霧のゲートが現れる。
爆豪が自分達の手元に居ることを確認して、荼毘達の襲撃は幕を閉じた。
「どうするんだ荼毘、この女。」
「………捨ててくるか…。」
トゥワイスの問いに、荼毘は気絶しているゆらを見下ろして言った。
「…一応、死柄木に報告しないとダメか?」
荼毘の問いに、トゥワイスとトガは分からないと首を振る。
「死柄木が来たら教えてくれ。」
荼毘はゆらを抱き抱えると、そのまま2階に行った。
他の部屋では爆豪の叫び声が響いてる。
「…俺もあっちがいいなぁ。」
爆豪の見張りに疲れ尽きたコンプレスが、荼毘を見て羨ましそうに呟いた。