第16章 蒼炎の思惑※荼毘・死柄木
「…荼毘って面倒くさい…。」
「お前も負けてねぇよ。」
好きだとか、一緒に居たいだとか。
本当はそんな事どうでも良くて。
一緒に居る時間が、人生のほんのわずかな時間だったとしても。
きっと荼毘を忘れないだろう。
今抱かれている腕は温かくて。
耳元で聞こえる荼毘の息はとても安心する。
そしてこの気持ちを満たしてくれるのは、どう頑張ってもたった1人だ。
「荼毘は本当にヴィランだね…。」
今やりたい事をやって、今が楽しければそれでいい。
この先に何があるかは行ってみて考えている。
「お前は?今楽しいのか?」
荼毘の言葉を聞いて、おかしくなった。
「楽しいよ、荼毘。」
何が目的か分からないけど、そっち側を選んだ荼毘。
「でも、もっと楽しくて♡」
ずっとこっちに居てもいいと思える位。
私も楽しくして。
ゆらは荼毘の腕を解いて、体を後ろに向けた。
蒼い綺麗な目を見ながら、ゆらは荼毘の首に腕を巻き付けた。
そのままキスをしようとすると、荼毘がそれを止めた。
「…今日何で機嫌悪かったんだ?」
機嫌……。
荼毘から言われて、?になった。
(…ああ…アレか…。)
荼毘がどうせ他の女の人の所を転々としているんだろうと思ったら、腹がたったんだった。
でもそんな事は、死柄木を巻き込んですぐにどうでも良くなった。
「…………。」
今更蒸し返すのも馬鹿らしくて、ゆらは荼毘の顔を見て笑った。
「……別に大した事ないよ…。」
それより早くキスがしたい。
もう一度荼毘に顔を近づけて、再度止められる。
再びキスを止められて、不満そうな顔でゆらは荼毘を見た。