第16章 蒼炎の思惑※荼毘・死柄木
「……荼毘、今まで何処に居たの?」
ゆらは仕方なくその話を蒸し返す。
ゆらのその言葉に、荼毘はやっと意味が分かって笑った。
「…ああ、そんな事がお気に召さなかったのか。」
揶揄う様に言う荼毘に、ゆらは不貞腐れた。
「転々は、転々だろ。」
ちゅっと荼毘はゆらにキスをした。
そんな事位でヤキモチをやくなら、可愛いモノだった。
しかし、その程度の事で死柄木を引き込むのはいただけない。
「…お前さぁ、死柄木は何なの?」
ぎゅっとゆらの頬をつねって荼毘は聞いた。
「……分からない…けど、好きとかじゃ無い。」
死柄木を欲しいと思うのはどうしてか分からないけど、それが恋じゃ無いのはハッキリ分かっている。
「…………。」
ゆらの言葉に荼毘は納得していない様だ。
死柄木は死柄木でまたよく分からない。
ゆらに執着している様で、それは性欲では無いのは分かっている。
相変わらず理解不明な2人に荼毘はジトッとゆらを見る。
……まぁ今は。
こうして自分にキスをされたがっているゆらに負けて、今日はまだ楽しもうか。
荼毘はそう思うと、もう一度ゆらにキスをしてそのまま押し倒した。