第16章 蒼炎の思惑※荼毘・死柄木
「……やめておいた方が良さそうだな……。」
荼毘は噛まれた指を抜いて、睨んでいるゆらを見下ろした。
「…死柄木は物足りなさそうだけど…。」
荼毘の言葉にゆらは死柄木を見た。
死柄木と目が合って、彼が何か言いたそうだったが、自分からは何も言わないでいた。
「……別にいい…。」
死柄木はゆらの顔を掴むと自分に寄せてキスをした。
舌を絡めさせてネットリとしたキスを繰り返して、自分のモノは自分で処理する様だった。
死柄木が自分で扱いているのを見て、荼毘は思った。
どうやら死柄木は、どうしてもゆらとやりたい訳では無さそうだ。
今回も煽ったのは荼毘で、別に2人で居ても体に触れる以外に発展はしない様だ。
だからか余計に腹が立つ。
まだ性欲と片付ける方が分かりやすい。
ただキスをしているだけで満たされている死柄木が理解出来なくて、それに付き合うゆらもまた理解出来なかった。
「……ゆら……。」
死柄木からその唇を奪ってみた。
少しイラっとした様な顔をしたが、今は自分の情欲を満たす事の方が大事そうだ。
何度かキスを繰り返して、荼毘はゆらに言った。
「……触る位してやれよ。」
荼毘の言葉にゆらは目を顰めた。
彼がよく分からない。
キスをすれば怒るのに、こうして情欲を楽しむ事にはある程度寛大で。
荼毘はただ、ゆらの死柄木への衝動が不安なだけだった。
自分とはすぐに服を脱ぐ癖に、死柄木にはそんな性欲すら無いのに縛りたがる。
縛らなくも情欲を交わせる焦凍と、縛っても別の衝動をぶつける死柄木に。