第16章 蒼炎の思惑※荼毘・死柄木
しかし死柄木は荼毘が居ることには不満そうだ。
ただ触りたいと言う欲求を人に見せるのはやはり気が引ける様だ。
そんな死柄木の心情なんてお構いなしに、死柄木が縛っていいというならゆらは勝手に気分が昂る。
……本当に荼毘は付いて来る。
汚ない何処かの廃棄倉庫だ。
周りには誰も居ないで、3人の呼吸の音だけが聞こえる。
死柄木が適当な所に座ると、ゆらは彼の前に立った。
死柄木の赤い眼がゆらを見ると、相変わらずこの目を潰したいのか、喰らい付きたいのか、ゆらにはその衝動が何なのか理解出来ない。
死柄木の膝の上にゆらは跨る。
「……はぁ…♡」
グルグル死柄木に鎖を巻き付けると、ゆらから吐息の様なため息が出た。
気持ちの良い衝動の解放に、全身が悦んで鳥肌が立つ様だった。
「……巻き過ぎだろ…。」
「………。」
グルグル巻きの死柄木はあまり自由に手が動かさない様だ。
後で存分に触らせてあげるから、今は自分の欲求を満たしたい。
ギリッギリッとゆらの鎖が死柄木の腕に食い込む。
痛みに死柄木の目が歪むと、ゆらは目を細める。
死柄木に対する他虐的な衝動が1番怖い。
死柄木を手に入れたいのに、その解決方法は荼毘とは全然違う。
ゆらは今、死柄木を壊したい。
鎖でがんじがらめにして、動けない彼の手を折り、足を折り…。
その眼を奪い、自分の鎖の中で死柄木が壊れていくのをゆっくり見ていたいのだ。
その衝動が何故死柄木だけなのか分からない。
彼が特別嫌いな訳でも無い。
死柄木を手に入れたい。
それだけの衝動だった。