第15章 蒼炎の休日※轟焦凍
「……ゆら……この後は2人になりたいんだ…。」
食事が終わって焦凍がモジッと言った。
「…うん、今日はずっと一緒に居たい。」
誰も気にしないで焦凍との時間を楽しみたい。
むしろそれだけが目的だと思っていた。
それなのに焦凍は考えてくれていて嬉しかった。
ゆらがそう言うと、焦凍も嬉しそうに笑った。
「俺、色々調べて来た。」
……相変わらず勉強家なのね…。
嬉しそうに報告する焦凍にこっちが照れてしまう。
彼の真っ直ぐな愛情に慣れる日が来るのだろうか……。
お店を出てしばらく2人で歩いていると不審な車を見つけた。
ゆらがピタッと止まってその車を見ていると焦凍もゆらの異変に気が付いて足を止めた。
「……ゆら…あの車気になるの?」
「……うん……。」
なんて事の無い路上駐車に見える。
ゆらはその運転席に居る男を見ていた。
エンジンを切らずにスマホを弄りながら、ずっと歩行者天国を見ている。
「…焦凍、あの車突っ込む…。」
ゆらの目が細くなって獲物を捕らえる様に男を見つめる。
「……ゆら、ヒーローを……。」
焦凍がそう言った瞬間に、ゆらは走り出した。
「?!」
ゆらを捉えるのがやっとで、焦凍は車の方に目をやると車が発進する寸前だった。
焦凍の目には車が突っ込むのかただ発進するのか見分けが付かなかった。
それでもゆらは迷う事なく鎖を使うと車の硝子を割って男を鎖で捕らえていた。
「ゆら!?」
周りも激しい物音に一斉にコチラを見ていた。