第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘
ゆらの睨む様な目に荼毘の顔が歪んだ。
「……気を付けろよゆら、今俺を不愉快にさせたら焼かれるのはお前だぞ?」
ああ、その台詞と表情はヴィランっぽい。
「…それと……。」
荼毘は低い声でそう言うとゆらにキスをした。
「俺は馬鹿なお前を結構気に入っているんだ。」
余計な忖度は無く、ただ衝動だけで自分を欲してくるゆらだから惹かれた。
余計な忖度をこじ付けて最もらしい解釈で自分を判断しようとする小賢しさは気に入らない。
そう言った荼毘の唇が首元に移動して、ゆらはやっと分かった。
荼毘はゆらを愛していない。
その瞬間の衝動が心地よくてゆらを置いているだけだ。
その胸の内をゆらと分かち合う事なんて荼毘は望んでいない。
(…ああ、このヴィランめ。)
自身の衝動に正直なヴィランらしい荼毘の感情にゆらは目を細めた。
ちゅっちゅっと、荼毘の唇と舌がゆらの首元から胸元に移動する。
初めて荼毘に触れられる事に嫌悪感を覚えた。
「……はぁ…荼毘…。」
それでも目の前の荼毘を引き離す事が出来ないで、ゆらは荼毘の首元に腕を巻き付ける。
ゆらの胸を掴んで突起した乳首を舐め上げる。
ぢゃっと吸って立った乳首を転がす様に舐めるとゆらの表情を確認する。
気持ち良さと嫌悪感で顔が歪んでも、荼毘にはその微妙な違いはわからないだろう。
いや、もしかして荼毘は全部気付いていて笑っているのかもしれない。
今ゆらは荼毘に欲情していない。
ただ荼毘に慣らされた体が勝手に反応しているだけだ。