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【R18】蒼炎を縛る【ヒロアカ】

第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘


それでも何でヴィランになったかの答えが分からなかった。

だって……。

「それはヴィランになる程の衝撃だったの?」

荼毘の鼓動がドクンと大きくなった。

「はっ…。そんなヒーローを排除したいからヴィランなんだろ?」

荼毘は胸に居るゆらの顔を掴んだ。

「お前だってそうだろ?」

荼毘の目が静かな怒りの炎をチラつかせながらゆらを見た。

ヒーローを排除する。

そんな感情はゆらに無かった。

「……別に私はこの世界でもその均等を壊さずに生きていけるよ。」

そう言ったゆらを荼毘は馬鹿にしたようにハッと笑った。

誰構わず個性を使っていい世界なんて望んでいない。

ゆらは目を細めて荼毘の顔に触れた。

「可哀想に、荼毘は弱いから劣等生だったんだね。」

ゆらが哀れみのような目で自分を見てくるので、自分の顔が不愉快さで歪んだのが分かる。

嫌悪感をあらわにされているのに、荼毘のその表情を見てゆらは目を細めて笑った。

「荼毘、誰に認めて貰いたいの?」

荼毘のその目が自分に向けられていないのが分かる。

それに対する苛立ちと悔しさで、今荼毘を傷付けたくなった。

悔しかった。

「私がここにいる理由は荼毘なのに。」

荼毘が居なかったら、連合に潜入する事すらしなかっただろう。

それなのに荼毘は自分以外の誰かをいつも思っている。


あの合宿の日に、月を見上げながらこれから雄英を襲撃するその時に。

あの目で荼毘は誰を思い浮かべていたのだろう。


「……お前が連合に居る理由が俺だって?」

荼毘は顔を歪めながら笑ってゆらの肩を掴んだ。
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