第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘
ホテルの部屋に入ると、荼毘はベットにゆらを置くと無言で服を脱がせ始めた。
「…………。」
気力が湧かないゆらは、取り敢えず荼毘にされるがまま横になり、脱がされていく様子を見ていた。
ゆらを裸にすると、荼毘は彼女の体を見下ろした。
「…………。」
目に見えて情事の痕や新しく付いた傷は無かった。
「……何かされたか?」
荼毘のその言葉で、ようやく自分が心配されて服を剥かれた事に気が付いた。
(…怒ってるのかと思った…。)
半分当たっている。
治崎の事や死柄木の事が荼毘の神経に触れてくる。
「…切り刻まれただけだよ…。」
「……黙ってやられてたのか?」
荼毘の目が細くなった。
コレは…答えを間違えれば彼の怒りに触れそうだ。
話に聞いただけの、小さな子供の変わりに今日の研究に付き合ったと言ったらアウトそうだ。
「……荼毘って過保護になったね…。」
死柄木もそうだが。
ゆらは荼毘に手を伸ばして笑って言った。
「話逸らすな…。」
そう言っても荼毘はゆらの手に導かれる様に体を折った。
近付いてくる荼毘にゆらは目を閉じる。
思った通り自分にキスをしてくる荼毘をギュッと抱きしめた。
はぁ……。
やっぱり荼毘とのキスは他の誰よりも違う。
ちゅっちゅっと何度も唇を合わせる音が部屋に響く。
荼毘のキスを受けながら、ゆらは治崎の事を思い返す。
彼の自分への個人的な興味は死柄木と一緒だ。
ただ初めて自分が触れられる相手への興味。
それだけだ。
ソレを荼毘に伝えたところで、彼のこの憤りは治らないだろう。