第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘
それで死柄木がゆらを連れて帰って来たと言うわけか。
荼毘は死柄木をジッと見て、彼の様子を伺った。
わざわざ死柄木がゆらの為に出向いた事も不思議だ。
「………何だ?」
死柄木は何も言わないでジッと見て来る荼毘に目を顰めた。
「…いいや?別に?」
死柄木は惚けているなだろうか。
それとも気が付いて居ないのだろうか。
普段なら絶対自分がそんな行動をするはずが無いと言う事を。
怪訝な顔で荼毘を見ている死柄木に、荼毘はため息を吐いた。
どうやら本当に分かってやっている行動では無い様だ。
ならわざわざ教えてあげる必要も無かった。
荼毘はゆらの頭をポンと撫でた。
見上げて来るゆらを見て、普段と違う行動をしているのは自分も同じだと目を細める。
「…… ゆら、やっぱり場所移動するぞ。」
今日は抱いておいた方がよいと直感した。
あまり死柄木の側に置いておきたくない。
2人が場所を移動すると言っても、死柄木は相変わらず興味が無さそうだった。
むしろうるさく無くなって、せいせいしている様だった。
荼毘は自分じゃ立ち上がりそうも無いゆらを抱き上げた。
荼毘の首に顔を置きながらゆらは死柄木を見た。
「……死柄木…ありがとう…。」
元々の原因は死柄木でも、今日は確かに死柄木に助けられた。
ゆらの嫌そうな顔を見て、死柄木はフッと笑った。
自分に借りを作るのは嫌なのだろう。
それが分かっているから、眉間に皺を寄せてお礼を言ってくるゆらに笑えた。
そのまま荼毘に抱かれて、2人はアジトを出た。