第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘
「……何処連れて行いきゃいい?」
「……ここでいい…。」
荼毘が居るなら何処でもいい。
ギュッと荼毘の首に巻き付いた視線の先に、死柄木が嫌そうな顔をしている。
「…荼毘…。」
ゆらは荼毘を呼ぶとすぐにその唇にキスをする。
治崎のキスの感触がまだ残っている。
それをもみ消す様にゆらは荼毘にキスをした。
「…………。」
必死に自分にキスをしてくるゆらに荼毘は目を細める。
(コレは何かあったな…。)
ゆらは分かりやすい、すぐに顔に出るし、行動にも出る。
こんな風に縋って来るのは嫌な事があったと言う事だ。
荼毘はチラッと死柄木を見た。
荼毘の視線に気がつくと、死柄木は顔を上げた。
彼が何か確認したいのはその顔を見て分かった。
「……なんかオーバーホール襲ってたな…。」
死柄木は自分が見た光景だけを言った。
荼毘の顔が歪みゆらの唇を無理やり剥がした。
「…違う…。」
間違いでは無いが解釈が全く違う。
ゆらがジトッと死柄木を見る。
「……何がそんなに良かったんだ?オーバーホールは?」
グイッと死柄木から自分に視線が戻る様にゆらの顎を掴んだ。
「…嫌だったから、相手の嫌な事を仕返したんだよ…。」
思い出してゆらの眉間に皺が出来るのを見て、楽しく無い事だったというのは分かった。
荼毘ははぁとため息を吐いた。
「ーで?」
荼毘は死柄木の顔を見て聞いた。
「個性使えないから殺されそうになってた。」
つまりワザと治崎を怒らせたと言うことか…。
荼毘はゆらの首に付いている治崎の手の痕を見て目をゆがませた。