第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘
「………今日…何で来たの?」
八斎會に行っても放っておかれると思っていた。
今日死柄木が来た事はゆらには予想外だった。
「……遅かったから…。」
死柄木の答えを聞くとゆらはザワっと鳥肌が立つ様だった。
あの死柄木が自分を心配してたとでも言うのだろうか。
ゆらは壊れたソファに寝こがりながら頭をソファの肘掛けに預けながら死柄木を見た。
随分とゆらに対して丸くなったモノだ。
だけどゆらが個性が使えないと分かれば触れてくる事も無い。
やはり死柄木は五指で触れる事に意味を持っている様だ。
(…後2日程度ね…。)
それまでこうして死柄木と過ごすのもあまり気乗りしない。
「……荼毘…。」
「五月蝿い。」
ゆらが呟くと、すぐに死柄木が遮る。
荼毘、荼毘五月蝿い。
いや鬱陶しい。
結局コレに負けて、死柄木は荼毘を呼ぶ事になる。
「…何だこの空気…。」
ゆらが個性を消されたと連絡を受けて来てみたら、ダラダラ過ごしているゆらと疲れ切っている死柄木がいた。
個性が消されるとゆらはこんなにも気力が無くなるものか。
せっかく荼毘が来てもいつもの様に嬉しそうに呼ぶ声も無く、ただ荼毘に向けて腕を伸ばしている。
こんなにやる気の無いゆらに対して、死柄木は何をそんなに疲れているのだろう。
ゆらを抱き抱えると死柄木を見る。
「………荼毘、荼毘五月蝿い。」
さっさと出て行けと死柄木の手がさっさと2人を払う。
なるほど…。
アレは死柄木からのヘルプだった様だ。