第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘
彼が吐き出したくてしょうがない欲望をどう出せばいいのか。
教えてあげるほど親切では無い。
「…オーバーホール、あまり擦り付けないで。」
ゆらはワザと意地悪く彼に言った。
雰囲気を壊さずにゆらが受け入れるとでも思っていたのだろうか。
いや、彼の反応を見る限りそこまで舞い上がっていない様だ。
治崎はゆらの首元に唇を押し付けると口を開いて齧り付いた。
「っ?!う…っ!」
治崎の舌の感触が首筋を這うと、流石にそれにはびっくりした。
そんな事を彼が出来るなんて思わなかったからだ。
(っ吐いたりしないよね……。)
震えが強くなった治崎の手を見てゆらは眉を顰めた。
何が治崎をこんなにも駆り立てるか分からなかった。
「っ…ちょっと…止まって!」
治崎の唇がどんどん胸元に移動してきた。
本気で治崎の腕を振り払おうとして、ゆらの拳が握られる。
そのゆらの手を見て、治崎はゆらの手を離すとぎゅっとゆらを抱きしめた。
「…はぁ…。」
軽く肩で息をしながら、ぎゅうっと治崎がゆらを抱きしめる。
これ以上彼はゆらに何も出来ないようだ。
ゆらは小さく息を吐いて胸を撫で下ろす気分だった。
流石に精神的な問題の多い治崎は、そんなにすぐに何が出来るわけでも無さそうだ。
「っ?!」
ゆらの顎を掴むと治崎の唇がゆらの唇に触れた。
多分初めてのキスなのだろう。
辿々しく押し付けるだけのキスだった。
震える唇と手は彼の限界を教えているのだろうか。
いちいちゆらで試している治崎に改めてイラッとする。