第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘
治崎の素の顔を最近見た人間は居るだろうか。
きっとこの見上げる光景はレアなのだろう。
ソレに別に何の感情も抱かなかった。
彼の手がゆらの頭を抱きしめて、体を預ける様に体重がかかった。
首元に治崎の唇が触れたのが分かる。
ゆらは目を細めて横目で治崎が握っている自分の手首を見た。
(……ああ、本当に面倒くさい…。)
荼毘を呼んでと、死柄木を呼んで欲しいと言ったはずだ。
その握られている治崎の手は、その努力をしなさそうだ。
我慢してみるか?どうせ治崎の出来る事なんて高が知れている。
死柄木の様にしばらくこうして体に触れていたら気が済むだろう。
ゆらの目がそっと閉じた。
治崎の震える手が徐々にゆらの体を移動していく。
さっきまで自分が切り刻んでいた体を、何故そんなに愛おしそうに撫でられるのかゆらは分からない。
「…… ゆら…。」
治崎が呟いて、握っている手がぎゅっと強くなった。
その治崎の高揚がどういうものなのかは、彼の下半身が教えてくれた。
行為は出来なくてもそんな生理現象はあるのかと、ゆらは意外に冷静になった。
気分が悪いのは、その感情が自分に向けられている事だろう。