第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘
………今まで他人から触れられる事に恐怖に近いほどの嫌悪感が襲ってくる。
自分から触りたいなどと思う事なんて生まれてから無かった感情だった。
個性を使う時でしか触れない他人の体。
その時でさえ抑えきれない反動の症状が出るのに。
(……何故この女だけは大丈夫なのだろうか。)
「……オーバーホール…。」
ゆらはため息を吐くと彼の体を押した。
引き離されそうになり、グッと腕に力を入れる。
ゆらは横にある治崎の顔を顰めて見た。
彼は息をする事も忘れている。
震える手が少し収まると、やっとため息の様な息を吐いた。
はぁ…。
背中にある手が動いてゆらの髪を撫でる様に頭に触れた。
まだ彼の体が強張っているのを見て、ゆらは目を閉じた。
…………こんなに不愉快な気持ちは初めてだ。
治崎の頬が自分の頬に触れると、ゆらはゆっくりと目を開ける。
「?!」
一瞬天井が上下した様に感じて、治崎はベットの上に横になっていた。
そんな治崎を見下ろす様にゆらは見た。
自分がゆらに組み敷かれたのだと気付くのに、随分と時間がかかった。
「……触らないでと言っている。」
冷たいゆらの目が、治崎を見下ろしていた。
ゆらは払った治崎をそのままにしてベットから降りた。
「っ!!」
グッと治崎の腕がゆらの腰に回ってだきしめられる。
(……頭おかしくなった?!)
強く握られて、再びベットに連れ戻されるとさっきよりも体を密着してきて治崎の手はゆらの顔に触れた。
「……動くな…。」