第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘
「……死柄木?」
ゆらの言葉に治崎が反応した。
荼毘を追いかけてヴィランになったのは聞いた。
ここで荼毘の名前が出るのは理解出来る。
ゆらは荼毘と同じ位死柄木を信用しているのだろうか。
連合のリーダーだから?
治崎からすれば死柄木は組織のリーダーになるには、まだまだ足りない存在だった。
まだ幼く、組織を統一する知識も力量も自分より遥かに劣ってみえる。
そんな死柄木はゆらに触れられるらしいのに、今自分は拒否をされている。
それは治崎の気持ちに黒い感情を与えるには充分だった。
「…俺はお前の気持ちは尊重しようと努力している。」
治崎の言葉にゆらはハッと笑った。
それは触れてよいか確認している事だろうか。
「無理矢理触れてないって?勝手に個性を消すなんて仲間どころか物以外の扱いよ。」
治崎に言った言葉が自分に返ってくる。
自分はちゃんと相手の許可を取っている。
一生懸命治崎と違う部分を探しながら、今までの自分の行動を正当化する。
治崎の手が自分に伸びてくるのを見ていた。
グッとゆらの肩を掴む治崎に。
どんなに笑顔で取り継ぐろっていても、欲望を抑えられないヴィランなのだと改めて思った。
「……手が震えてるよ…オーバーホール。」
こんな風に人を触ろうと思った事が無いから、どうしていいのか分からないようだ。
治崎はゆっくりと手をゆらの背中に回した。
そして自分の体をゆらに付けると、グッと抱きしめた。
「っ?!」
自分の体に蕁麻疹が起きないのが分かって、治崎はぎゅっとゆらを抱く手に力が入った。