第13章 蒼炎を夢想する※荼毘
「…だってよ、悪いなぁリーダー。」
荼毘はゆらを抱き締めるとニヤッと笑って死柄木に言った。
……荼毘は意地悪だ。
そんなに死柄木を煽らないでもいいのに。
ゆらと死柄木は荼毘の様な関係ではないのだから。
「……俺はいつもゆらから強請られた事しかないけどな。」
…おや?どうした死柄木…。
「……そうかよ。」
「そうだなぁ…次は抱こうか。」
死柄木はそう言ってニヤッと笑うと、部屋から出て行った。
「お前、死柄木縛るの禁止な。」
死柄木が出て行ったドアを睨みながら荼毘は言った。
荼毘…アレは死柄木に揶揄われてるだけだよ。
ゆらは苦笑いしながら荼毘を見た。
まぁ、死柄木に嫉妬している荼毘も可愛いから死柄木の意地悪は許してあげよう。
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「義欄、部屋貸して。」
バンッと古い洋風のマンションのドアを荼毘は許可なく開いた。
義欄は荼毘が入って来ると、ビクッと体を強張らせた。
「っ!お前、指名手配犯の癖に彷徨くなよ!」
「…黒霧使ってるからヘーキ。」
荼毘はバンと机の上に部屋代のお金を置いた。
義欄はお金さえ払えば、大抵の事は聞いてくれる。
「空いてる部屋何処?」
義欄は観念した様に鍵を荼毘に渡した。
念の為チラッと外を見たが、確かにヒーローの気配は無い。
長年裏世界に住んでいると、そう言う所ばかり敏感になる。
義欄は荼毘の脇に居るゆらに目を向ける。
「……お前が女に入れ込むタイプとはね…。」
頭をボリボリ掻きながら義欄はため息を吐いた。
「エンデヴァーにしか興味がないと思ってたよ。」
義欄の言葉に、荼毘の体がピクッと反応したのが分かった。