第13章 蒼炎を夢想する※荼毘
集合が解かれて、各々バラバラに散って行く。
それでも自分から離れないゆらに荼毘は頭を撫でた。
珍しく随分と弱っている様だ。
「ゆら…。」
ゆらに声を掛けたのは、荼毘ではなく死柄木だった。
荼毘はチラッと死柄木を見た後にゆらを見た。
「オーバーホールはお前に何をやらせたいんだ?」
置いて行ったくせに気になるのか。
ゆらは顔を上げて死柄木を睨んだ。
「…例の薬を完成させる為に、私の血肉が欲しいって。」
ゆらの言葉に死柄木の目が少し歪んだ。
「アレ人の血肉なのか?……気色わりぃ…。」
荼毘は嫌悪感丸出しで嫌な顔をする。
「はぁ…行かせねぇよ。アホか。」
ゆらの頭を掴んで、荼毘も死柄木をギロっと見た。
(やだ…荼毘が彼氏みたい♡)
意外な荼毘の行動に、ゆらは胸がキュンとなった。
さっきまで治崎の事で気分が悪かったのに、一瞬で機嫌が治った。
死柄木は首をポリポリ掻くと、はぁっとため息を吐いた。
どうせ死柄木はゆらを行かせるのだろう。
ゆらは死柄木の態度に目を伏せた。
「…分かった、オーバーホールと話してくる。」
死柄木の意外な言葉に、ゆらは目を見開いた。
「……私の事どうでもいいから置いて行ったくせに…。」
「そんな話になるなんて知る訳ないだろ。」
置いて行ったのは、ゆらなら自分で何とか出来ると思ったからだ。
「知らない、死柄木とは口聞かない。」
ゆらはプイッと死柄木から顔を背ける。
本当にこんな所は面倒くさい餓鬼だ。
死柄木が大嫌いな。