第13章 蒼炎を夢想する※荼毘
「……そうだな……。」
死柄木はトガの言葉に、ゆっくりと顔の手のひらを外した。
「俺とお前達のためだ。」
その死柄木の言葉と、表情にその場にいた人間が気取らされた。
死柄木は治崎や八斎會に媚を売るでも、言いなりになっている訳でも無い事は、その表情を見てすぐに分かった。
オールフォーワンと離れて、死柄木自身が決めた答えがソコにあった。
そしてその答えに対する風格への変化に、身震いする程の悪寒を感じたのだ。
「むこうは連合の機動力を削ぎ、且つ有能なお前らを懐柔したいんだろう。
外堀から取り囲んで従えたいんだ。
ハナから対等になんて考えてもいないのさ。」
あの話し合いの中で、意外に死柄木は冷静に治崎を見ていた様だ。
局面を、もう見据えている様だ。
勿論、治崎とは違う局面を。
「トゥワイス責任を取らせろと言ってたな、こういう責任の取らせ方もある。」
ゆらは次の死柄木の言葉の面白さに目を細めた。
「俺はお前たちを信じてる。」
面白かった。
精密な計画を立てて統制を図る治崎。
この人質もそんな計画の中で詳細に決められた人選のはずだ。
死柄木はその緻密に作られた計画の中にただお前たちを信じると送り込む。
この3人誰も誰かの下に与する様な人選じゃない。
死柄木から好きな様にやって来いとのメッセージだ。
そしてそれを信じると。
その中でもかなりのクラッシャーのゆらだ。
死柄木は私に何を望む?
チラッと死柄木を見て、彼と目が合う。
まぁ残念ながら、死柄木の望みも治崎の望みも叶える気は無いが。
そんなゆらの心情すら分かっている様に死柄木はフッと笑った。