第13章 蒼炎を夢想する※荼毘
急に掛かった死柄木の号令。
集合場所に荼毘が入ると、彼を見つけるや否やゆらは荼毘に抱きついた。
座っている荼毘の膝の上に顔を埋めて、何も喋る事なくただ抱きしめる力を強くする。
珍しく鎖も出そうとしない。
荼毘はゆらの頭しか見えないので、取り敢えずゆらの頭をポンと撫でた。
「……………。」
荼毘の行動にも反応しないで、不貞腐れる様に疼くまるゆらを見て、何かあったなと荼毘は思った。
「八斎會と協力するだって…!?」
死柄木の話が始まって、一緒に出かけたゆらが機嫌を悪くして帰ってきた事は分かった。
「ああ!何度も言わせるな。
あちらの計画には充分な旨みがある!
トガとトゥワイス!今日からお前らはヤクザだ。」
荼毘はゆらが放り投げたマスクとマントをチラッと見た。
プラスゆらと言う事か。
「つまんねぇ冗談だ、面白れぇよ死柄木…!」
当たり前だがトゥワイスは気分が良く無い様だ。
ゆらは少し頭を動かせて、死柄木達の様子を見た。
「黒霧も持ってかれそうだったが粘ったよ。
まぁ実際、あいつはあいつで今重要な案件に取りかかってるしな。」
ゆらはあっさりと手放したが。
ゆらは恨めしそうに死柄木を睨んだ。
「移動については地下のルートで……。」
話を続ける死柄木を止めたのはトゥワイスだ。
「何が旨みだよ!冷徹ぶればリーダーか!?感化されちまったかあのマスク野郎に!」
周りの様子を見ていると、異論があるのはトゥワイスだけでは無さそうだ。
周りもピリピリとした空気で、2人のやりとりを見守っている。