第13章 蒼炎を夢想する※荼毘
実験?血清?
「……採血とか?」
「……………。」
違う様だ。
絶対にまともな協力を求められていない。
治崎の実験室に入れるのは、仕事上都合がいいのかもしれない。
それにしては身を可にしすぎてる。
自分の身の安全?仕事優先?ホークスならどうする?
「…どんな形の協力なの?」
ゆらがそう聞くと、治崎がスッとゆらの顔の横に近付いた。
「血肉を貰う…死なない程度に。」
ゾワッとゆらの毛が逆だった。
「…それは困るなぁ、傷が残ったらお嫁に行けなくなっちゃう。」
ゆらの言葉を聞いて治崎がニヤッと笑った。
「お前なら、すぐに修復を使ってやってもいい。」
他の人間なら触れたくも無いが、ゆらなら触れられる。
多少の蕁麻疹が出ようが、嫌悪感が無いのは相当大きかった。
スッと治崎の頬がゆらの頬に触れた。
「……ブツブツ出来てるよ…。」
「全然マシな方だ。」
彼の個性と、極度の潔癖症という事は事前の情報で知っていた。
ゆらは横目で治崎を見た。
死柄木といい、治崎といい。
普段人に触れられない人が、触れられる対象を見つけるとこうなるのか。
「お前は俺に触れられても個性が出ない訓練でもしてくるんだな。」
修復が出来なかったら、困るのはお前だろ?
丸腰で治崎に身を委ねると言うことか。
血肉を取られるより拷問だなとゆらは思った。
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