第2章 蒼炎を喰む※荼毘
「わぁ…露天風呂だ…。」
やはり時間が遅かったのか、1人だ。
掃除の時間もあるので、早く入ろう。
「はぁ…こんな所で1人で下着洗ってるの虚しい…。」
色々な体液が付いていて、洗いずらい。
ゆらはため息を吐きながら鏡を見て、自分の体を見た。
所々、荼毘が残した痕が付いていた。
あの衝動は何だったのだろう。
荼毘を見た瞬間に、喰らい付きたくなった。
あの目も、放たれた蒼炎さえも自分のモノにしたくて、でも、やり方が分からなくて、結局荼毘に喰べられた。
全て気持ちいいの良い行為では無かったけど、確かにあの時の情欲は治った。
ゆらは下半身の鈍い痛みに、お腹を抑えた。
体をどんなに綺麗に洗っても、まだ荼毘が残っている様だ。
少し焦臭い荼毘の匂いも、全てが鮮明に覚えている。
(…どうすれば、また荼毘に会えるんだろう…。)
変な気持だ、情欲は治ったのに、まだ荼毘に会いたいと思っている。
一般人じゃ無いだろう荼毘はヴィランなのだろうか。
ゆらはギュッと拳を握った。
会って、荼毘の事を知りたかった。
だけども、また荼毘に会ったら、あの衝動が頭も体も支配しそうだ。
(…衝動を抑えられないなんて、私がヴィランみたいだ。)
個性を自分の欲望の為に使うのがヴィランだ。
今まで自分は、その衝動を制御出来ると思っていた。
荼毘にやった事と同じ事を、一般人にしてしまったら、ゆらはすぐに逮捕されるだろう。
そう考えたら、胸がギュッとなった。
荼毘は簡単に、ゆらの境界線を超えて来た。
自分から沸き起こる感情だとしても、間違いなく火をつけたのは、荼毘だ。
会ったらダメなのかもしれない。
そう分かっていても、会いたいと言う気持ちが、ゆらを支配する。