第2章 蒼炎を喰む※荼毘
複雑な気持ちのまま、お風呂を上がると、轟とラウンジでバッタリ会った。
彼も遅めの入浴だった様だ。
「……秤…大丈夫か?」
轟の言葉に、ゆらはドキッとした。
荼毘の事を言われているのだろうか。
「えっ?何が?!」
思わず声が上擦ってしまった。
「いや、歩き方変だから…。」
(…何だ、そっちか…。)
ゆらは荼毘との情事がバレていない事にホッとした。
「大丈夫、優しいのね轟。縛らせて♡」
「…何でだよ…。」
ちょっと引き気味の轟もまたいい。
ゆらはジッと轟を見上げた。
半分冗談で言ったが、やはり轟を無理に縛り付けたいという欲は、制御出来ている。
荼毘との事で、自分の他我が外れてしまったらどうしようと思っていたので、これには安心出来た。
「…本当に大丈夫か?」
ジッと見過ぎでしまった様だ。
本気で心配している轟の顔が目の前にある。
「ああ、本当に大丈夫だから。」
そう言ってゆらは轟から目線を外した。
嫌な事なんて全く無かった。
今は痛みさえ、荼毘を感じる事が出来て、心地いい。
「まだ、続くんだから、バテるなよ。」
「はは、轟もね。」
そうして、部屋に戻ってからは、朝まで爆睡出来た。
ゆらはこの時、こんなにすぐに荼毘に再会するとは、思わなかった。