第13章 蒼炎を夢想する※荼毘
「こいつの…連合に入った動機は?」
治崎の言葉に、死柄木とゆらは顔を見合わせた。
「特殊な性癖を持ってて、荼毘を追って?」
あー…うん、もうそれでいいや。
「荼毘が好きで離れたく無いんです。」
出向メンバーに荼毘が居たら、やる気になるかもしれないよ?治崎。
それかやる気が無いから、出向は諦めて欲しい。
そんな思いでゆら治崎を見たが、どうやらその思いは治崎には届かなかった様だ。
「そんな理由でヴィランになるなんて、イカれてるな!」
ミミックがバカにした様にゆらに言った。
人の血清で弾を作るやつよりかは、イカれていないつもりだ。
ゆらは治崎を見下ろした。
「…マスクを用意しようか…。」
治崎はソファから立ち上がると、クロノに死柄木を送る様に命令した。
置いてくのかと、ゆらはギロッと死柄木を見た。
死柄木はゆらの視線に気が付いているのに、構わずにソファから立ち上がった。
死柄木が部屋を出る時に、恨めしそうなゆらの耳元に顔を近づけた。
『せいぜい頑張れよ。』
面白そうに笑って出て行く死柄木の背中をゆらは目を細めて見送った。
(生きて帰ったら縛ってやる。)
死柄木が出たドアに向かってゆらは呟いた。
「ミミックももういい。」
治崎はそう言うと、着いてこいとゆらに言った。
また迷路の様な地下の道を、今度は治崎と一緒に歩いた。
治崎が1つのドアの前で止まった。
その部屋に入ると、マスクやらコートが沢山あった。
部屋の壁一面にある奇妙なマスクを前に、ゆらのテンションはさらに下がる。