第13章 蒼炎を夢想する※荼毘
「将棋を指したことが無いのか?」
え?何が始まるの?
テーブルの上に将棋の台が置かれて、クロノとミミックが駒を並べてる。
「やらん片付けろ、ルールも知らん。」
そうだ、そうだ、さっさと帰りたいんだ。
「オイ!やれよ!」
「まぁそう言うな、これを機会にたしなむといい。」
治崎がゆっくりとソファの背もたれに身を預けた。
「局面が見渡せるようになるぞ。」
「ふーん。」
治崎から駒を動かして、死柄木は分からなくても駒を移動した。
パチ、パチっと少しずつ動いていく駒を、ゆらはボーッと見ていた。
「将棋の面白いところは、相手から奪った駒を使える所にある。」
ああ、死柄木が相手なら奪いたい放題だ。
「黒霧かトガ、分倍河原をうちに入れる。
好きに動かれちゃこちらも不安だ。」
的確に死柄木が動きにくくなる駒を持っていく。
「便利な奴ばかり…動きは削ぐってか。
ウチの要だそいつらは!そんなにやれるか。」
死柄木は苛々したのか、首をガリっと掻いた。
「信頼を築こう、今はまだ遺恨を残してる。」
…信頼ね…。
その割には容赦なく駒を奪っていってる。
「こっちは計画の全貌をさしだしたろう。
次はそっちの番だ。」
計画が漏れる事を恐れての人質の様なモノか。
本当にずる賢い大人の様だ。
死柄木の駒がいい様に簡単に取られる。
「君たちは仲間が大事なんだろう。」
確かに部下を肉壁に使う様な奴より、死柄木の方がまだ主要メンバーを大事にしている。
死柄木にも居るんだよ肉壁が、治崎の目の前に。
「…リーダー『飛車』取って。」
ゆらは駒を指差して、死柄木に指示する。