第13章 蒼炎を夢想する※荼毘
治崎が死柄木の話を促す様に手を差し出した。
死柄木は改めて内ポケットから、小さな針の付いたピースを出した。
「こいつが関係してんだろ。」
目を細めなきゃ見えない様な小さなピース。
多分アレが、今回ゆらが持ち出しすべきモノだ。
「コイツを撃ち込まれた直後から。
Mr.コンプレスは『個性』がしばらく使えなくなった。」
ゆらは顔を顰めた。
個性を使わずの抹消?
しかし、それだけでは大それた計画なんて出来るはず無い。
自分の個性は希少だけど微力だ。
身体能力が備わっていなければ、ただのおもちゃの鎖だ。
イレイザーヘッドの様に、見た瞬間個性が消える訳でも無い。
ゆらは鎖を出せる速度を常に上げる訓練をしている。
撃ち込まれたと言う言葉から推測するに、銃みたいなモノを使ったのだろう。
ーーーーそんなモノの速度より、ゆらの方が遥かに速い。
だけれども、自分には何を大成する様な力は無い。
「何だこれは?これで何するつもりだ?答えろ。」
「理を壊すんだ。
オールフォーワンは『個性』を奪い支配したと聞く。
俺はそのやり方を少しブラッシュアップする。」
きっとそれは、長年かけてやったきた治崎の計画なのだろう。
「すでに根は全国に張り巡らせている。
少しずつ…少しずつ計画的に準備を進めている。」
治崎の話を聞いているこの時に。
ゆらは地上での八斎戒會構成員と、ヒーローとの事件が起こっている事は知らなかった。
そしてそれにより、この抹消の弾はヒーローに知られる事になった。
「消せるって言っても、コンプレスは2日で戻った。」
「アレはまだ未完成品だ。
完成版は永遠に個性を奪うことが出来る。」