第13章 蒼炎を夢想する※荼毘
逃げるつもりが、死柄木に触れられて足が勝手に治崎に向かっていた。
クロノとミミックはゆらの動きが見えなかった様で。
治崎の後ろで、彼の首に鎖を巻いているゆらを驚いた様に見ている。
(ああ、死ぬのかもしれない…。)
残念ながら走馬灯は見えなかった。
荼毘の顔だけがハッキリ思い出されて、もう会えなくなると思うと。
ゆらは死柄木を睨んだ。
「俺に触るなと言っている。」
治崎がゆらに触れた。
「!?」
自分が触れたのに、何も変化が起きないゆらを見て、治崎は驚いた顔をする。
「?」
そんな治崎にゆらも不思議そうな顔をしたが、治崎が個性を使おうとしていた事に気が付いた。
「…ああ、個性抹消なので…。」
と言うか、彼のブツブツは大丈夫なのだろうか。
何だか縛っているのが可哀想になる。
「そっちが何様だ?ザコヤクザの使い捨て前提の肉壁とこっちのオカマ。
その命は等価値じゃないぞ。」
なるほど、死柄木達は仲間を殺された様だ。
「プラス腕一本分だ、多少は譲歩してくれなきゃ割に合わない。」
うん。
死柄木は今、私の命の価値を入れてないぞ。
鎖を解いた瞬間に死にそうなのだが。
「クロノ、ミミック下がれ。」
治崎の言葉で2人が死柄木から離れる。
「…リーダーもお行儀良くしましょうか。」
ゆらはニッコリ笑って死柄木に言う。
出来ないなら縛り付けるぞ。
ゆらはスルッと治崎から鎖を離した。
………どうやら殺されない様だ。
「せっかく前向きに検討して来てくれたんだ。
最後まで聞こう、話の途中だった。」