第12章 蒼炎と緋※荼毘・死柄木
「っこの野郎…。」
荼毘はゆらの髪を掴んで、唇を喰んだ。
ゆらの頭は大きく反って、死柄木から体が離れる。
「…ん…はぁ……。」
荼毘の舌が絡まって、隙間から息を吸うのもやっとで、ゆらは目を顰めて荼毘を見る。
頑なに離さなかった死柄木の鎖から手を離すと、ゆらは抑えきれない様に荼毘の首に抱きついた。
死柄木の体から鎖が消えて、今度は荼毘の腕に鎖が巻き付いた。
「っ…は…ぁ…荼毘っ…。」
ゆらが必死に荼毘の口の中に舌を押し込んでくるのを感じて。
荼毘はゆらを抱き上げた。
死柄木から完全にゆらの体を離すと、唇を離してギロッとゆらを睨む。
「…荼毘ダメ……もっと……。」
完全に情欲した顔で、ゆらは荼毘の唇に喰らい付いてくる。
何で自分が死柄木への情欲の処理をしなければいけないのだろうか。
荼毘は苛々して、ゆらから顔を離す。
「…こんなに簡単に乗り換えやがって。」
荼毘が死柄木を睨むと、死柄木は面白そうに笑っている。
「…荼毘…。」
ゆらはもう荼毘の声が聞こえていないのか、荼毘の首元に噛み付くと、舌と唇を使って荼毘の味を堪能する。
ここまでぶっ飛んだのは久しぶりだ。
それが死柄木の相乗効果なら面白くも無い。
「…堪えろって、場所考えろ。」
荼毘が全然言う事を聞いてくれないので、ゆらももう限界だった。
荼毘の腕から降りて足が付くと、簡単に荼毘を床に組み敷いた。
「!?」
小柄な女にあっさり組み敷かれ、荼毘は困惑した顔をしている。
ゆらは体術の授業も得意科目だ。
そしてなにより衝動からの身体能力が、今はMAXだろう。