第2章 蒼炎を喰む※荼毘
「…どうした?軽い好奇心の代償は高かったか?」
荼毘はゆらの顎を掴むと、顔を上げさせた。
目を瞑っていたゆらが、薄っすらと目を開けた。
「……全然…今凄く幸せ♡」
ゆらはニッコリ笑うと、拘束されている荼毘の手を握った。
ゆらの顔に、荼毘が一瞬気を取られていると、再びゆらの目が閉じた。
そのままカクッと、体を倒したゆらを、荼毘が慌てて支えた。
「っーおい…。」
ゆらは荼毘の腕の中で、気を失った様だ。
カシャンと、2人を繋いでいた拘束具が外れた。
(…気を失ったら、外れるのか…。)
荼毘は何も無くなった手首を見ながら、ゆらの肩をグッと抱いた。
初めての女を抱く様な扱いでは無かった。
気を失うのが当たり前な位、ゆらにとってはキツかったはずだ。
荼毘は腕の中で、目を瞑っているゆらを見下ろした。
まだ幼さは残っているが、目を閉じていても、その綺麗な顔立ちが、ハッキリ分かった。
月を見上げて、目に入ったゆらの姿を見て、思わず声をかけた。
見られたなら殺せば良かったのに、体は動かなく、出たのはあいさつの様な言葉だった。
(まさか、コイツから襲ってくるとは…。)
荼毘を見下ろしていたゆらの顔は、獲物を見つけた猛禽類の様に鋭い目で荼毘を捉えていた。
獲物を見つけた時の、恍悦した笑みが、見た事も無いほど美しく、全身に鳥肌がたった。
(……まだ、外でメシ食ってるのか?)
荼毘は合宿所で、食事が終わっていない様子を確認すると、ゆらを抱き上げた。