第10章 蒼炎の衝動※荼毘
荼毘を縛りたいとも、鎖を出す事すらしない。
荼毘はゆらの顎を掴んで、唇を離した。
ゆらの顔を覗き込むと、興奮していないが、情欲の表情はしっかりとしている。
「………また…。」
興味が無いフリなのか?
その割にはゆらの手が動かない。
ゆらは荼毘の少しだけの動揺に目を伏せた。
面白いな。
みんな私が鎖を出さないと、興奮しない生き物だと思っている様だ。
「どうしたの?荼毘。」
ゆらはそう言って、肩にあった手でやっと荼毘の顔に触れた。
「縛られたいの?」
そう言って高揚した顔で荼毘を見下ろした。
その顔を見て、荼毘の胸がグッと鳴った。
「止まらなくなるよ?」
「………はっ……。」
荼毘はゆらの頭を掴むと、ゆらの唇に齧り付いた。
さっきよりも激しく舌を絡めて、ゆらの口内を犯していく。
ちゃんとゆらの舌が求める様に荼毘の口の中に入ってきたのを確認して。
荼毘はゆらの体を抱き上げた。
「……面白れぇな…。」
すぐにベットにゆらを下ろすと、ゆらの手をグッと握った。
「そのまま鎖は出すなよ。」
ニヤッと笑って荼毘はゆらの首元に唇を落とす。
ギュッとゆらの手が、荼毘の手を握った。
「…何処まで耐えれるか見ものだなぁ、ゆら。」
荼毘に押し倒されただけで、顔が紅潮して、息が荒くなっている。
誰がゆらにこんな余計な事を教えたのだろう。
自分の衝動に耐える事を出来るようになったゆらに舌打ちする。