第10章 蒼炎の衝動※荼毘
ゆらの動きを見て、プロヒーロー達が唖然とする。
コレが本当に、雄英に入って数ヶ月の学生の動きなのだろうか。
轟が有名で、彼の力がずば抜けているのは、エンデヴァーが幼い頃から轟を訓練した結果だ。
公安ヒーロー以外は知る由もなかった。
ゆらもまた、幼い頃から訓練を受けている事を。
(…脳無を縛っても、全然楽しく無い。)
ヒーロー達の視線を集めながら、ゆらはそんな事を思っていた。
若干15歳ながら、トップヒーローに近づいている。
(だから俺には手に余るって言ったんだ、ホークス。)
もうゆらの力を隠せない。
ゆらの登り詰めるその姿に、昔のホークスを写した。
当然だ。
ホークスがずっとゆらの相手をしていたのだから。
集落の襲撃を静圧すると、インターン1日目はそうして終了した。
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ゆらは何故今、始末書を書かされているのか理解できない。
始末書は『命令無視』に関してだ。
現場周辺のヴィランを捕まえたのが、何が悪いのだろうか。
取り敢えず、命令無視してごめんなさいを、400文字で表した。
始末書を書き終わって、ペンを握っている手が止まった。
荼毘は黒煙の元に行ったヒーローを焼いて、逃げた様だ。
ゆらの個性が時間が経てば消える事を知らなかったとしても、何故自分の個性で捕獲し直さなかったのだろうか。
そのヒーローの怠慢としか考えられない。
ゆらなら間違いなく、ヴィランを受け渡されたら、自分の鎖で縛り直すからだ。
よっぽど荼毘は苛立っていたのだろう。
そのヒーローは黒焦げになって死んだ。