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【R18】蒼炎を縛る【ヒロアカ】

第10章 蒼炎の衝動※荼毘


ゆらの言葉に、荼毘は満足そうに笑った。

「後悔するなよゆら。」

後悔?

荼毘が捕まった時の話だろうか。

残念だが荼毘と出会って1度も。

後悔なんてした事が無かった。

手に入らない苦しさも。

共に生きていけない悲しさも。

ヒーローとヴィランと言う立場の葛藤も。

ゆらは荼毘の胸元の服を掴んで引き寄せた。

荼毘の唇を奪うと、その感触に目を閉じる。

この瞬間、全ての感情は弾け飛んでただの女になる。

その気持ちが幸福と言う感情ならば、全ての葛藤もその糧になるだけだ。

だから荼毘。

コレが最後のキスにならない様に。

「せいぜい頑張ってね荼毘♡」

ゆらは唇を離すと、ニッコリ笑って荼毘に言った。

はっと乾いた息が荼毘から漏れた。

「イカれ女、覚えておけよ。」

そう言って笑う荼毘に、ゆらは背中を向けた。

まだ戦闘が続いている村に到着すると、ゆらは飛行型の脳無の背後に飛び、鎖で縛った。

飛行は個性だったのだろう。

脳無はそのまま落ちていき、地面に叩きつけられると、その上にゆらが乗った。

「っ!お前何処に居たんだ。」

ゆらの遅れた到着に気付いて、同行していたヒーローが苦々しくゆらに聞いた。

「…周辺の片付け。」

ゆらがチラッと黒煙を見ると、それに気が付いたヒーローがその黒煙の元に向かった。

(…1人ね…。)

さぁ荼毘はどうなるだろうか。

気にしてもしょうがないので、ゆらは次のヴィランを狙う。

彼女が到着してからは、ヴィランの捕獲は早かった。

それはゆらの個性というより、身体能力の高さからだ。
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