第10章 蒼炎の衝動※荼毘
荼毘。
貴方は。
何処までも私の衝動を掻き立てる。
決して、誰にも感じた事の無い感情。
これが恋じゃ無いなら、私は一生この衝動だけで。
他は何も要らない。
荼毘の炎がゆらに放たれて、ゆらはそれを避けた。
ゆらの代わりに、そこにあった木が一瞬で蒼い炎に包まれる。
ゆらは荼毘の予測より早く。
彼の反応よりもずっと速くゆらは荼毘の懐に潜り込む。
彼のお腹に触れて、ゆらは網状の鎖を出して荼毘に放った。
鎖は荼毘を押しながら、彼の体ごと木に括り付ける。
自分が括り付けられている姿を見て、荼毘は苦笑した。
ゆらの手から離れた鎖は、時間が経てば消滅する。
後ろで荼毘の炎で木が燃えていて、その黒煙が登り、焦臭い匂いが2人を包んだ。
その状況にゆらはふっと笑った。
相変わらず弱い荼毘に、ゆらは苦笑いする。
「……ゲームをしようか荼毘。」
この黒煙をヒーローが見つけて荼毘を捕まえるのが先か。
ゆらの個性が消えるのが先か。
ゆらは目を細めて荼毘を見た。
「……すげぇ顔してるな。」
荼毘を見つめるゆらの顔は、今にも荼毘を喰らい付きそうな顔をしている。
なのにソレを抑える理性を掴んだ様だ。
いや。
この状況を作った事という事は、子供から成長を遂げる為の反抗期か?
「…どうした?俺に触れたいか?」
「…うん。」
「喰らい付きたいか?」
「…うん。」
荼毘はゆらを見てニッと笑った。
「俺に興奮してるか?」
「うん…。」
とても。
抑えるのに頭がおかしくなりそうだ。