第10章 蒼炎の衝動※荼毘
インターンの期間は1週間にしてもらった。
ゆらは東京に出てきて、しばらく窮屈だった寮生活からの解放に心が躍った。
束縛されるのが嫌いなゆらからしたら、寮生活はかなりストレスが溜まるモノだった。
「……俺は断ったんだけどな…。」
「よろしくお願いします先輩。」
前回同行してくれた公安ヒーローの事務所にゆらは来た。
この嫌そうな顔を見たくて指名したのだ。
東京の方が事件が多いだろうとの打算もあった。
久しぶりの開放感に、やる気は満々だ。
初日はサイドキックと、町のパトロールに出た。
東京でも郊外ならそこまで大きな町は少ないんだと、ゆらは思った。
ヒーロー事務所が集中していない方が、活動しやすいのかもしれない。
事務所を立ち上げる気は無いので、自分がヒーローになったら、都市部のヒーロー事務所に就職しようと漠然と考えた。
それとも自分は公安職員になるのだろうか。
特に自身の将来の事はあまりよく考えていない。
縛れる相手が居るのからそれでいい。
出来ればその数は多い方がなお良かった。
パトロール中に、2人に連絡が入った。
東京の郊外の村に脳無が現れたと。
東京に村がある事にびっくりしたが、すぐにゆらはその異変に気が付いた。
(…脳無?)
浮かんだのは荼毘の姿だ。
すぐに2人は現場に向かった。
本当に村というだけあって、その場所は山の奥にあった。
ここが東京だと、言われなければ気が付かない位だ。
現場に着くと、数体の脳無と数名のヴィランを確認出来た。
荼毘を探すまでも無かった。
見なくても分かる、そこに荼毘は居ない。