第10章 蒼炎の衝動※荼毘
「…全然足りなそうだけど…。」
不思議そうに聞いたホークスに、ゆらはモジッとした。
「…轟が……。」
「他の人を3秒以上見ちゃ駄目だって…。」
かぁと顔を赤くして、ゆらは口元を腕で押さえながら言った。
一瞬、ゆらが何を言っているのか、理解出来なくて、ホークスは思考が停止した。
それでも、あのゆらが、人の為に自分の衝動を抑えようとしている。
約束の時間はとうに過ぎているが。
我慢しているのだ。
ホークスは、胸が熱くなる様に、痛かった。
「……それなら解いて貰おうか…。」
実際にホークスに言われると、惜しくなった様だ。
鎖を握りながら、モジモジしている。
ホークスはそんなゆらを見て、フッと笑った。
「…大丈夫、焦凍くんには内緒にしておいてあげる。」
だからどうか、そのままいい子で居てくれ。
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「ゆらはインターンは何処にいくんだ?」
クラスが違うから、互いの情報はそれほど共有されない。
まぁ轟なら、エンデヴァーの事務所だとすぐ分かるが。
ゆらは公安のツテで、東京の郊外の事務所を紹介してもらった。
行かないと言う選択はあるが、大手を振ってヴィランを縛れる。
行かない選択は無かった。
「…東京…。」
しかし、話しずらい。
ガッシリと抱きつかれて、身動き1つできなかった。
最近、轟の部屋に来る頻度が多くなった。
今日も間違いなく、この続きを期待している様だ。
学校では轟のお陰様で、すっかり公認となっている。
困ったのは、轟が来る様になって、夜の外出が出来ない事だ。
お陰で、ゆらは欲求不満だ。
勿論、個性の方で。