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【R18】蒼炎を縛る【ヒロアカ】

第9章 蒼炎を悔悟する※轟焦凍


個性の衝動が体を蝕む様だ。

呑まれたい。

呑まれたく無い。

死柄木も荼毘もこの衝動を感じて、向こうへ行ったのだろうか。

抗って、抗って。

それでも抑えられない衝動に身を任せて。

自分の居場所を、決めたのだろう。

怖いよホークス。

貴方があんなに教えてくれた道標が、こんなにも霞むくらい、この衝動に身を任せて荼毘の元にいきたい。

あの目に囚われて、離れる事が出来ない位。

心が。

魂が。

荼毘を求めるんだ。

あの時荼毘と出会った衝動を、何と言えばいい?

恋だと、一目惚れだと。

言葉にするには陳腐過ぎて、どれも当てはまらない。

あの目が、自分を見ていないと分かっていても。

彼の目的が、自分の望む未来と違うと分かっていても。

荼毘の側で、刹那的なその先が、2人の別れだとしても。

一瞬も離れたく無い。

ああでも。

貴方達(ヒーロー)はどうしても其処に私を堕としてはくれない。

夜中に、窓が鳴る。

カーテンを開けて、轟が目の前に居て、私は目を顰めるのだ。

涙を堪えて。

窓の鍵を開けるのは、簡単な衝動だった。

部屋に入って来て、ゆら以上に顔を顰めている轟に、ゆらは抱き付いた。

轟が抱き返してきて、やっと涙が出た。

「…ゆら…俺はもう…。」

誰にもゆらを渡したく無いんだ。

轟の声が聞こえて、掴んだ背中をギュッと握った。

「…違…轟…。」

私が愛したのは、貴方の目によく似たヴィランなんだ。

聞こえたか?

聞こえたはずだ。

轟は眉間に皺を寄せてゆらを抱いている。

それでも轟は、窓の鍵を閉めて、部屋の中に入ってきた。
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