第8章 蒼炎乱舞※死柄木
ガシッと荼毘がゆらの腕を掴んだ。
「…………。」
ゆらは何も言わずに、笑顔のまま、荼毘を見下ろしていた。
いくら待っても、炎がゆらの腕を焼くことは無かった。
「いいのね荼毘、お仕置きで。」
ゆらはニッコリ笑って荼毘の手を掴むと、鎖を出して、荼毘を縛った。
拘束具では無く、鎖だ。
「……お前がそんなに、俺に夢中だとは思わなかったよ、ゆら。」
揶揄う様に、荼毘は笑って言った。
随分と余裕だ。
「…………。」
ゆらはそんな荼毘の問いには答えなかった。
「勿論お前は、アレから俺だけなんだろうな。」
ゆらの、衝動性は知っている。
荼毘はカマをかける。
ゆらは荼毘の言葉に、はっと笑った。
「荼毘がダメなのは、私に見られた所よ。」
「バレなければいいと。」
「だって、私が他の人としたかなんて、分からないでしょ?」
ゆらはベットの上に乗って、荼毘の顔を覗き込んだ。
「…たとえ何かしてても…。」
ああ、これは黒だ。
荼毘はフッと笑ってゆらに言った。
「じゃあ、お互い様で…コレ外せ。」
ゆらは体を起こして、椅子に座っている死柄木を見た。
ここに読んだ張本人なのに、蚊帳の外で楽しんでいる死柄木にイラっとした。
「死柄木退いて。」
死柄木が退くと、ゆらは荼毘をその椅子に座らせて、鎖を椅子に縛った。
荼毘の膝の上に跨って、その光景を見下ろしていると、すぐに情欲が湧いて出てくる。
ゆらは堪らず、荼毘にキスをする。
唇が触れて、舌が絡まると、すぐに背筋がゾクゾクした。
荼毘でしか得られない、高揚が体全身に響き渡る。