第8章 蒼炎乱舞※死柄木
死柄木がゆらの反応を伺う様に顔を覗いている。
「…はぁ…死柄木…。」
ゆらはため息を吐いて、死柄木を見上げた。
「その手離して。」
そう言ったゆらの顔を見て、死柄木は笑って手を離した。
本当に悪趣味だ。
ゆらは死柄木にそう思いながらも、彼の望む行動をどうしてもしてしまう。
バンっと入って来たゆらの姿に、中の2人が驚いてゆらを見る。
「…ゆら…。」
いい動揺っぷりだ荼毘。
他の女に跨がれている姿は、本当に殺意すら湧く。
「なっ何っ!?」
女性は跳ねる様に、荼毘から退いた。
ゆらはニッコリ笑って女性に近付く。
「大丈夫ですよ〜、すぐにヒーローに引き渡しますから♡」
そう言って、ゆらは女性の服をグイグイ押し付ける。
「あ?体勢見て分かるだろ、合意だ。」
ムクッと体を起こして、荼毘は睨む様にゆらに言った。
バタバタと女性が服を着て逃げて行く。
ゆらは荼毘を無視して、その女性の後ろ姿を見送った。
「…お前が何でここに居るんだよ。」
ため息を吐きながら、荼毘が言うと、ひょっこり死柄木が現れた。
すぐに原因が分かり、荼毘は死柄木を睨んだ。
「…お前がいちいちアジトをホテル代わりにするからだろ。」
最初の現場は目の前のゆらだが。
ゆらは今はそんな事関係無い。
ゆっくりと、荼毘に体を向けて、彼を見下ろした。
「荼毘…縛ってないんだから、炎使えるよ?」
口元は笑っているのに、目は笑っていない。
「言い訳位聞いてあげる♡」
そう言ってゆらは荼毘に手を伸ばした。