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【R18】蒼炎を縛る【ヒロアカ】

第8章 蒼炎乱舞※死柄木


「こんな時間に彷徨くなんて、不良だなぁ。」

よりによって、急所の首筋にその手が伸びていた。

ギリギリ五指が触れない程度に、ゆらの細い首を片手で掴んでいる。

「…死柄木…。」

「さんだろ、年上には。」

振り返って見上げた目は、相変わらず赤くゆらを見下ろしている。

「……指名手配犯も、普通に歩いているんだ。」

隠れているかと思った。

「ああ?誰のせいで彷徨いてると…。」

そう言いかけて、死柄木は何かを思いついた様にニヤッと笑った。

「こんな偶然も無いな、いいモノ見せてやるよ秤ゆら。」

悪者は本当に悪い顔をして笑うモノだ。

嫌いじゃ無いその笑みに、ゆらは目を細めた。

死柄木に連れて来られたのは、雑居ビルの中だった。

やはり定期的にアジトは変えている様だ。

トレードマークの顔の手のひらがなければ、意外に見つからないモノなのだろうか。

ゆらは冷たい死柄木の手に、そんな事を考えていた。

沢山あるドアの中で、死柄木が1つのドアの前までゆらを連れて来た。

「…ここに…。」

「黙ってろ…。」

ゆらが言いかけた言葉を、死柄木が被せた。

ドアを開けないのだろうか。

ゆらはニヤニヤしている死柄木を不思議そうに見て、中の様子を伺った。

中に人の気配がして、途切れ途切れに声が聞こえる。

軋むベットの音と、その声色で、その中の人物達が何をしているのか、すぐに分かった。

そして、中に居る1人の内の声は、忘れた事も無い声だった。

サーっと自分の血の気が引くのが分かった。

荼毘が、今この中で何をしているか、簡単に想像出来た。

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