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【R18】蒼炎を縛る【ヒロアカ】

第8章 蒼炎乱舞※死柄木


「っ…?!」

確かに、1年前までは自分の後ろにくっ付いている様な後輩だった。

ヴィランを見つける猛禽類の様な目。

一瞬を見逃さない反射速度。

その全てが、この1年でひっくり返った。

(ワシは1.000メートル先の獲物が見えるんだっけか…。)

勿論ゆらがそんなに見えるはずが無い。

そんなあり得ない事を考えさせる位に、衝撃的な出来事だった。

「はい、先輩♡」

ゆらは笑顔でヴィランを引き渡す。

警察の引き渡しには、ゆらは同席しない。

手柄は彼のモノになるが、手柄が欲しい訳じゃ無い。

公安ヒーローがヴィランを引き渡す光景を離れて見ながら、ゆらはグッと拳を握った。

雄英の訓練は厳しいと思う。

しかし、ゆらの力が発揮されるのは、強いヒーロー相手じゃ無い。

(せめて、仮免にヴィランが居てくれたら…。)

今の1/3の力でも出せるかもしれない。

ヴィランを捉えるあの瞬間の高揚を、仮免までに持っていかないといけない。

(今週は狩まくろう。)

ゆらは腕を伸ばして、背筋を伸ばした。

警察の引き渡しを終えて、公安ヒーローがゆらの元に戻って来た。

「…今日はもういいや、ありがとう。」

お礼を言われても、複雑な気分だ。

そう言って、ゆらは帰路に着いた。

繁華街は子供が居ては目立つので、裏路地を歩いて帰った。

(どっかでヒーロースーツを着替えて、電車で帰ろう。)

ゆらは適当に着替えられる場所を探していた。

決して、油断していた訳では無い。

むしろ感度は、絶好調だった。

伸びて来た手に気が付かなかったのは、その手に殺気も、敵意も感じなかったからだ。
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