第8章 蒼炎乱舞※死柄木
「…お前相変わらず何だったなぁ。」
「何だ、君か。」
夜合流したのは、ホークスと同じ年の公安ヒーローだった。
どうせ、ホークスから色々聞いているのだろう。
「あまり派手にやるなよ。」
ゆらの特性を知っている為、牽制を兼ねてゆらに言った。
「…今日は1、2人でいい、ピークを仮免に持っていきたいから。」
まぁ、馴染みの方が、阿吽の呼吸があるのでやり易い。
しばらく2人は、ビルの上から繁華街を眺めている。
ゴールデンタイムの繁華街は、人も多く犯罪も多い。
車のライトと、街の灯りだけで、夜でも十分明るく繁華街を見渡せる。
ザワザワした人混みの中で、微かな異変を探す。
「っ!おい…。」
公安ヒーローが、異変を察知した瞬間、既にゆらはビルを飛び降りていた。
昼間より夜の方が、神経が研ぎ澄まされる。
雑居の人混みの中で、50メートル先の微かな異変。
引ったくりの被害者が、被害を確認した瞬間には、ゆらは空から降って来て、その犯人を捕まえた。
訳も分からずに、自分が急に地面に倒れている。
ギリッと締め込む鎖に、やっと犯人は自分が捕まったのだと理解する。
「……………。」
電光石火のゆらの動きに、公安ヒーローは唖然としてその光景を見るしか出来なかった。
「…馬鹿野郎…。」
そう呟くと、すぐにゆらの元に向かった。
あくまで公安ヒーローの影に隠れて活動をしなければいけないのに、表立ってヴィランを捕まえに行った。
「…おい…。」
ゆらに手を伸ばした時に、振り返ったゆらの目を見て、固まった。
「…遅いね…私の前に居ると思ってた。」