第8章 蒼炎乱舞※死柄木
よし、こんな時こそ、ホークスだ。
「ホークス、アレやりたい♡」
『…………。』
顔を見なくても分かる。
きっと今ホークスは、とっても面倒くさい顔をしている。
電話の向こうからため息が聞こえる。
『俺が来週そっち行くから、その時でいいか?』
ホークス自ら名乗り出るのも珍しい。
「それじゃあ仮免に間に合わない。」
仮免は今週だ。
『……公安ヒーローに、同行させるから、それでいいだろ。』
ヒーロー同行なら、堂々と個性が使える。
「ありがとう。」
ゆらの明るい声に、ホークスは伝える事を躊躇った。
『荼毘だけど…。』
荼毘の名前に、ゆらはピクッと瞼を震わせた。
『全然過去が洗い出さない。どんな奴なのか、どんな経歴なのか全く掴めない。』
ホークスの情報網でも、荼毘の過去を洗い出せない様だ。
まぁゆらは荼毘の居所を知っているが、ホークスに教える気は無い。
「…そう…。」
ゆらはそう言って、ホークスとの電話を切った。
正直過去の荼毘にそんなに興味はない。
彼の過去に何があったとしても、あの時初めて見た荼毘がゆらの全てだ。
あの蒼い綺麗な目に、何を映さないのかは、ゆらの感情には関係無い。
きっと荼毘はもうあそこにも居ないだろう。
ゆらはスマホを投げ捨てると、ググッと体を伸ばした。
さぁ今日の夜から楽しくなる。
久しぶりのヴィラン狩りだ。
ゆらは気持ちを切り替えて、ヒーロースーツに着替えた。
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