第2章 蒼炎を喰む※荼毘
繋がれたゆらの右手が、男の手を握った。
男は自分の手から炎が出ない事に、動揺を見せた。
その顔を見下ろして、ゆらは恍悦した顔で笑った。
「あは、弱いね♡」
「……………。」
そう言って顔を近づけたゆらに、男は無言で、ゆらを見た。
「……で?この後どうしたいんだ?変態女。」
ため息を吐くように、男が言うと、ゆらは少し考えた。
「…分からない…こんな気持ち始めてだから。」
ゆらは自分の胸を両手で抑えながら言った。
一緒に連れていかれた男の手も、ゆらの胸に当たる。
そんな事を全く気にしていないゆらに、男は呆れた様に目を細めた。
拘束物を触れたいと思ったのは、初めてだ。
いつも鑑賞できれば、ソレで治る高揚だった。
なのに今は、リスクを負ってでも、捕まえたこの男に触れたかった。
「…じゃあこんなのはどうだ?」
「え?」
男はゆらの頭を掴むと、そのまま自分の唇にゆらの唇を押し付けた。
初めてのキスに、ゆらは目を見開いて驚いたが、すぐに心地よい感覚に目を瞑った。
ヌルッと男の舌が、ゆらの唇を割って、口内に入って来た。
「っ…ん…っ!」
流石にビックリして、頭を反らそうとするが、男の手がガッチリとゆらの後頭部を掴んでいたソレを許さない。
男は体はキスをしたまま体を起こすと、両手でゆらの顔を掴んで、逃げる舌を追いかける。
「…はぁ、誘って来た割に、経験なしかよ…。」
少し唇を離すと、やっと出来た呼吸に夢中になっているゆらを見て、男は言った。