第19章 東京への試練
「みんなお腹空いたんじゃない?ご飯できたよ」
ドアを開けて笑顔のおばあちゃんが入ってきた。
「良かったらみんな食べてくれる?」
一ノ瀬が立ち上がり部屋から出ていく。しばらくするといい香りを運んできた。
「男の子はよく食べるでしょ?」
おばあちゃんはそう言ってみんなの目の前に山盛りの焼きそばが乗ったお皿を置いて行く。
「残しても大丈夫だから」
一ノ瀬が慌てて言ったが日向と影山がペロリと平らげおかわりまでした。
おばあちゃんはその姿を嬉しそうに見ていた。
とりあえず勉強も進んだので夕暮れ時そろそろ帰ることに。
おばあちゃんがみんなにお土産で漬物を持たせた。
「おしゃれな物じゃなくてごめんね・・・でもおばあちゃんの漬物美味しいから!」
必死にそう伝えると4人とも
「昼に食べたから知ってる。いただきます」
と言って笑顔で受け取った。
ガラガラガラ・・・
玄関が開き日向たちが昼間に会った熊みたいなじいちゃんが入ってきた。
「おじいちゃん!お帰り」
「なんだ、みなの言ってた同級生ってこいつらか?」
”この人一ノ瀬のじいちゃん!?”4人の背筋が一気に伸びる。
「お前それであっちまで帰るのか!?」
日向がこれから山を越えて帰ると言うので、自転車を乗っけて軽トラックで送る。ついでに影山も途中まで乗っけていく
「家でも部活の話よくしてるぞ。お前らのことも。
同じ1年がみんな凄いってな。俺には目つきの悪いガキに、チビスケにしか見えないが」
お前ら本当に凄いのか?と疑う。
「・・・みなはちっちゃい頃とにかく体が弱くてな。すぐ熱出して寝込むから、両親が心配して東京からこっちに住ませたんだ。
最初は寂しいって泣いてばっかでよ、友達もできなくて家で勉強ばっかしてるからよく山仕事に連れてったんだよ。
俺の後必死に追いかけてきたけどすぐ遭難して・・そっからだ。元気になり始めたの」
このじいちゃんと生活してたら逞しくなるだろう、と二人は思った。
「あんなに泣いてた子が今は毎日楽しそうに学校行ってる。
お前らのおかげなんだろうな、ありがとう。よかったらこれからも仲良くしてやってくれ」
日向と影山がコクリとうなずいた
「・・・もし泣かせたりしたら俺がお前らの家に怒鳴り込みに行くからな?」
二人が必死に何度もうなずくのを見てじいちゃんがケラケラと笑う