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約束の景色

第77章 春高2回戦  vs稲荷崎高校③【目印】


観客席から烏野の試合を見守る
「・・・下で観て来ようかな」
ポツリと研磨が呟いた
その視線の先を追えば、コートの後ろから選手たちを見守るみなちゃんの姿が見える。
今までだったら不安そうな顔で立つ姿
でも今日は違う
引き締まった表情でコートを見守っていた

GWに初めて会った時とは本当に変わったと思う
「もう一人でも大丈夫だろ?みなちゃんは頼もしくなったぞ」
この一年で成長したのは選手だけじゃない。
「うん。でも時々、試合に集中しすぎて危ない・・・」
隣のコートから飛んできたボールが当たった。
「あっ」
「確かにあれは心配になるな・・・でもさっきの試合で重力に抗って体ボロボロだろ?いまは糖分補給して休みなさいよ」
気分を紛らわすようにバナナを渡す。
「あっ!バナナもらいますね~」
後ろからリエーフが長い手を伸ばしてもぎ取っていった。
音駒高校の2回戦の相手は、猫又監督の元教え子が監督をしている。
こちらの戦術をよく知る相手
セッターの研磨が試合中に動かされ体力を削られた。
それでも下がることなく最後までコートに立ち続け、音駒を勝利に導いた。
「(みなちゃんといい、チビちゃんといい、ゲーム以外で研磨をアグレッシブにさせる貴重な相手)」

ボールを投げ返そうとしてみなちゃんが荷物を床にぶちまけた。
「「・・・」」
隣の研磨とソワソワしながらその一部始終を見守っている
自分に言い聞かせるように研磨がため息をついた。
「・・・分かってる」
「しっかりしてきたんだけど・・・なんか危なっかしいんだよな」

レフトから田中が超インナーのクロスを決める。
序盤はブロックに止められストレスの溜まる時間が長く続いていた。
それでも気持ちが折れることはなく、ひたすらボールを呼び跳び続けた。
メンタルの強さに感心する。
やろうと思ってもなかなか出来ることじゃない
「龍っ!やるなっっ!」
山本が身を乗り出す。
嬉しさと、自分も負けてられないという悔しさのこもった表情。
田中の得点で烏野が稲荷崎から第1セットを先取した

会場内では稲荷崎の大声援が鳴り響いている。
「烏野の相手は”宮ツインズ”か」
「強烈なサーブ打ってくるし、二刀流だもんな」
さすが強豪校だ
「(おい、烏野。来たぞ。俺たちは来たぞ)」
澤村!お前たちも勝ち上がってこい!!
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