第17章 始動
「こういう感じどうかな?」
机に広げられたB2サイズのポスター。
「これ・・谷地さんが作ったの?」
私たちがふわっとイメージしたものを谷地さんが形にして作り上げてくれた。
「一ノ瀬さんがイメージ教えてくれたからそれ意識しながら、あとは目立たせたいとこちょっといじってみた」
お母さんにもアドバイス貰ったけどね、と照れたように笑う。
「凄いよ!!私が考えてた何倍も、ううん!何十倍も凄いの出来た!!!」
うわぁ~って無意識に声が出る。
ポスターの出来上がり本当に凄い。まるでプロの人が作ったみたいだ。
「これ先生に見せてくる!きっとビックリするよ!あと日向くんたちにも!」
「日向くんたち?」
「バレー部の1年生。日向くんはこの写真の人ね」
出来上がったポスターをワクワクしながら見つめる。
清水先輩たちにも早く見せたい!
「谷地さんは将来デザイン系に進むの?」
「えっ・・・まだ決めてないかな・・・」
「こんな凄いの出来るんだもん!きっと有名になるね!」
いまからサイン貰っておかないと。
「そっ、そんなこと・・。良かったら早くバレー部の人たちに見せに行ってあげて?」
手をブンブン振りながら恥ずかしがる谷地さん。
「うん!あとで報告にくるね!」
ポスターを丁寧に丸めて大切に抱え込んだ。
今度谷地さんたちをバレーの試合に誘ってみよう!
日向くんの写真を使ってポスターを作ったんだ、と昼休みにお披露目した。
廊下で会った時に「話したいことがある」と言ったら”昼休みにそっちの教室行く!”と言ってくれたのだ。
1年バレー部が月島くんの机の周りに集合した。
バレー部がこれから強くなる為には色々とお金もかかるから、寄付金を募ろうと考えてる事。
そしてこれがそのポスターです!と、先程谷地さんから預かったポスターを机に広げる。
4人から「おぉー!!」という歓声が上がった。
「えぇーっ!?これおれ??カッコイイ・・・」
箸が止まり、ポスターを嬉しそうに見つめる日向くん。
「一ノ瀬の写真の撮り方がうまいんだろ?」
どうせなら皆に見てもらいたくて影山くんにも声をかけた。
片手におにぎり、もう片方にはぐんぐん牛乳を持って感想を述べる。
お弁当は朝練のあとに食べ終わったらしい。