第17章 始動
先輩たちと出し合った案を持って、放課後さっそく谷地さんのところに向かう。
「いるかな~?あ!いたいた。谷地ちゃん!」
友達が呼び掛けると窓際の席の女の子が振り向いた。
「いま大丈夫?実はさ・・・」
寄付金を募るためのポスターを作成したいこと、使いたい写真と言葉は考えてるんだけど、ポスターってどう作ればいいのかアドバイス貰えないか?と相談した。
「私がアドバイスなんて・・。そういうの作ったことないよ?」
「谷地ちゃんの綺麗なノート見ればデザインセンスあるの分かる!
お願い!ちょっとでいいからこの子にアドバイスしてあげて?」
友達が必死に頼み込んでくれる。
「谷地さんに力貸してもらいたいんだ。お願いします!」
私も頭を下げる。
「わわっ!頭上げて!!私で少しでも役に立てるなら・・・やってみる」
友達とガッツポーズで喜ぶ。
「使おうと思ってるのはこの写真なんだ」
「凄く良い写真だね・・・これ一ノ瀬さんが撮ったの?」
「うん。前に部活の様子撮った時のやつなの」
「使いたい言葉は?」
「それは清水先輩・・・3年生の先輩マネージャーに考えてもらった!イメージはこういう感じなんだけど」
旭先輩が書いてくれた絵を見せる。
「なるほどなるほど・・・」
だったらこういう風にするのとか、こういうのもいいかも?と夢中になっている谷地さんを静かに見守った。
「もしよかったらこの写真のデータを貰える?家のPCで作業してみる!」
「ぜひお願いします!」
丁寧にお辞儀して連絡先を交換した。
それから何度か休み時間に会議を繰り返した。
谷地さんが作ってくれた試作品を見て3人で「これは?」「あれは?」と意見を出し合う。
しばらくして、ついに谷地さんから”出来上がった!”と連絡がきた。
協力してくれたお礼に坂ノ下商店で買った
『ぐんぐんバー(高たんぱく&低脂肪)』を差し入れする。
「アスリートじゃないんだから・・・差し入れのセンス無さすぎ」
友達が笑いながら受け取る。
バレー部でよく買っていたものだったからつい。そっか女の子に差し入れするなら甘い物だったかな?
ごめんね・・・と言いながら渡すと
「私も体鍛えてみようかな?ありがとう」
クスクス笑いながら受け取ってくれた。谷地さん可愛いな。